ベトナムの洗礼を受ける - ホーチミン前編

香港国際空港から3時間弱ほどでホーチミンタンソンニャット国際空港に到着した。早朝便だったため爆睡して気がついたら着陸しており自分達以外の乗客が全員降りていた。

着いた瞬間やはり国ごとの空港のにおいがあり、ホーチミンも独特のにおいがした。特にトイレのにおいが日本と違う。地味に嫌なにおい。それもそのはず、ベトナムでは(というか海外は大抵そうだが)便器にトイレットペーパーを流せないため想像通りの香りが漂う。

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早朝4時頃であったため空港は完全に眠っていた。市内に出たかったが市内に向かうバスが5時半からの運行だったので空港内で少し待つことにし、時間潰しに日本の地方空港並みの狭さだったが空港内を散策してみた。空港の壁の注意書きなどを見てると旅行前に勉強したベトナム語文がずらっと学びわくわくした。じっと見ていると、発音的にこれは漢語であるなと予想がついて大変面白い。

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(見出しは確実に「留意」)

バス始発の15分前になったので空港内ATMでベトナムドンを日本円で7000円分おろしてから外に出てみた。バス停の近くまで約30mほど歩いただけで3人からタクシーの客引きを受けた。さすがベトナムである。Airport Busの看板があるカウンターに行くとおっさんがおり、どこに行くのかと聞いてきた。ホテルの近くのベンタイン市場方面に行きたいと言うとなぜかおっさんはバスではなく駐車場の方へ連れて行く。「やられた....ぼられるんだろうけど交渉してみよう」と心の中でつぶやきながら歩いた先はもちろんオフィシャルでもなんでもないボックスカーが待ち構えていた。いくら?と聞くと15万ドン(約700円)だと。7kmほどの距離だったので日本基準で考えたら良心的だと思いおろしたばかりで最高額紙幣しか持っていなかった筆者は友人に支払いを頼んだ。言い値通りきっかり紙幣を出したにも関わらずおっさんは友人の財布をつかみあと1ドル!日本円でもいい!と言ってきたので筆者は友人と目配せし急いで車を降りた。不思議にもおっさんは追いかけてこなかった。

後で分かったが友人は財布から最高額紙幣である50万ドン(約2500円)を1枚すられていた。だからおっさんはわざわざおいかけて来なかったのだ....現地人の前で絶対に財布を見せてはいけないと改めて認識した一件である。必要最小限の額だけポケットに札だけ突っ込んでおく方がかえっていい。

それから色々と紆余曲折あり正規のバスにちゃんと乗れた。現地のバラードソングが車内で流れておりベトナムの「空気」を感じた。友人氏「中川家のネタで出てくるアジアのポップスみたいだな」
明らかにそうだとわかる感じの日本人バックパッカーが途中で乗ってきて、たまたまベンタイン市場近くで一緒に降りたので話しかけられた。彼は初めてベトナムに来たらしい。筆者らはホテルに荷物を預けたかったので二言三言交わして別れた。彼の一人旅が安全であったことを祈る。

つづく

生ゴミ臭とトイレ砂漠と美食(?)の街

9月の初め。9時台に成田を出発し昼12時過ぎに香港に降り立った。香港国際空港はかなり広いらしく空港内を移動する電車が走っており、着いて早々車内で広東語、普通話、英語によるアナウンスを浴び異国に来た実感が湧いた。
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乗り継ぎのホーチミン行きが夜の2時台であったため半日ほど余裕があり観光することにした。筆者は海外でスマホを使うときはレンタルwifi派なもので空港でwifiを借りることにした。が、1日だけ貸してくれるところはなく、到着ロビーにあるレンタルwifiカウンターを3社ほどまわってきいたが「1日だけは貸せない。3日間からだ」と口を揃えて返され、仕方がないので「3日間パック借りますが1日で返します....」と泣く泣く1日のレンタルwifiに日本円で2500円ほどを溶かした。
wifiを借り安心したところで観光名所が集中している中心部までエアポートエクスプレスで向かう。九龍駅までのチケットはネットで買っておりスマホに届いたQRコードで簡単に乗ることができた。料金は後払い。空港から2駅先の九龍駅で降り改札でスマホに保存していたQRコードをタッチした。しかし反応せず。近くにいた駅員のおじさんがモアライト!モアライト!と叫ぶのでもっと右にスライドさせればいいのかと思ったがそれでも無反応。おじさんがモアライト!とぶっきらぼうな声で叫ぶ。何を言わんとしてるんだ?と訳がわからず焦りながら何回もトライしたがなおも反応せず。先に改札を通った友達がボソッと一言。「more light, つまり光量を上げろってことでは....」10秒後、解決。頭が固いとこういうときに困りますなあ。

九龍駅で降りてつながっている駅ビルから外に出て徒歩で屋台街などに行こうと思ったのだが出口が全く見つからない。外に出られたとしてもタクシープールだったりして歩いて外に出るような出口がない。30分ほどだだっ広い駅ビルをさ迷ったあげく、徒歩でけちることはできず地下鉄に乗り換えて街まで行った方が賢明だと思い旺角駅まで地下鉄を使った。地下鉄の券売機を探していると公安にパスポートを見せろと言われた。なぜか筆者は中華圏でよく職質にあう。
地下鉄の乗り方や雰囲気、そしてさらに(地下鉄のホーム独特の)においは日本と同じ。片道5~7香港ドル(100円しないくらい)で市内をぐるぐる回れるのでかなりコスパがよい。やはりアジア(ヨーロッパ等に旅行したことがないので他の地域は詳しく知らないが)の良いところは交通費が日本の感覚からすると恐ろしく安いところにある。ちなみに車内は北京のそれのように大声で電話をかける輩も、物乞いがうろうろしている上海の地下鉄とも違い日本の電車と大差ないほどの静かさと秩序が保たれていた。


旺角駅で降りて地上に出ると中華圏独特のにおいと光景が広がる。通りにはみ出した横書きの看板。数十メートルおきに設置されたゴミ箱がポイ捨て防止に一役買ってるのと引き換えに放つ悪臭。香港は日本人の旅行慣れしてない女の子でも楽々旅できるような綺麗で美食に溢れた土地かと思っていたが早々幻滅してしまった。

来るときの飛行機で爆睡し機内食が食べられないまま昼過ぎになり腹が減ったので腹ごしらえをしようと目に入った適当な麺の店に入る。出てきたのがこれ。
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中国によくありがちな麺。普通に美味しいがすごく美味しいというわけでもなく、食レポをしろと言われたら結構困る味だ。飲み物としてホットのレモン水も頼んだが文字通り白湯に切ったレモンをぶちこんだドリンクが出てきた。砂糖が入っているわけでもなく味がついてもいないためちびちび飲んでいるとレモンの果汁が濃くなり苦くなった。嗚呼香港。

レモンの後味を残し香港の街をぶらぶらと散策してみた。知らない街を歩くというだけでわくわくできる質であるが正直これといって面白そうなものはなかった。気づいたのは(エセ)日本語の案内や看板が多いということとジャッキー・チェンリスペストなのか上裸のおっさんを何人か見たくらい。

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午後の時間を街歩きに溶かしいつの間にか暗くなる。本当は香港駅近くから夜景(the 香港って感じの夜景をガイドブックやテレビで見たことあるでしょう?あれです。)を撮りたかったのだが地下鉄で6駅くらい先だったのでフライトの時間があるのを考えると断念せざるを得なかった。

香港だから昼のリベンジとして食を楽しもうと夜ご飯を食べに現地人がまあまあ多い少し汚めの中華料理屋に入る。中国語を学んで中級程度になるがまだメニューの漢字は読めない。普通話でフィーリングのままにこれくださいと注文。セットで飯物を頼みそのお供に蒸した鶏肉らしき字面の品を頼むと注文を取りに来たおばちゃんがそれ辛いけどいい?と言ってきたが「没关系(ノープロブレム)」と返した。余談だが香港人同士では広東語が用いられるが僕ら外国人が頑張って話す普通話(北京官話)は歓迎されるような気がする。
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10分くらいしてよちよち歩きのおばあちゃんがドンッドンと置いていったメニューがこちら。味の方はというと....うん....。飯物の米はインディカ米に近い食感かつほのかな塩味。辛いよと言われた蒸し鶏肉もほぼ皮しか食べるとこがなくむしろ食べるところが全体の5%程しかなく骨が95%くらいの有り様。結局セットでついてきたドリンクのタピオカミルクティーが一番美味であった。

香港思ってたんと違う~~と叫びたかった。しかしよくよく考えるとセットで400円しないくらいだったしもう少し金を出して違う店に行けばガイドブックに載ってるようないわゆる美食に出会えたのかもしれない。貧乏学生の身分では美食に出会えなかった。無念。

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小事件が発生したので書いておく。スマホの充電が少なくなり近くのマックで充電しながらコーヒーを飲んで休憩したところトイレに行きたくなった。時刻は20時くらいだったと思う。マックのトイレに行くと清掃中という表示があり鍵がかけられていた。仕方なく隣の家電量販店のトイレを使おうと思いトイレまで行ったがstaff onlyの絶望的な二単語が。皆人間だから誰しも尿意はあるだろう、トイレくらい人類平等に使わせろと思ったがパスワードを入れないと入れないようになっていた。ネットで調べた手首の尿意を抑えるツボを押しながら香港の街でトイレを探して三千里。限界に達しそうになりショッピングモールに駆け込むもまたもや「清掃中」もうダメだ....と持っていた携帯トイレの出番かと思っていたら隣に「身障者トイレ」が。救世主。安堵感涙を流しながら用を足した。それにしても、後から来た香港人や旅行客の兄ちゃんたちも20時を過ぎて街中のトイレが一斉に清掃中で使えなくなるのに舌打ちしていた。観光客多い土地なんだからチップ付きでもいいから公衆トイレくらいたくさん設置してほしい。
香港行く人が気を付けた方がいいのはトイレ事情だろう。街には公衆トイレが少なく店も貸してくれるところが少ない。トイレの表示もなく場所も分かりにくい。筆者のように頻尿気味の人間にはきつい土地だ。

空港行きの特急に乗り1日分しか使わなかった3日分2500円のwifiを返し余った香港ドルを空港のカフェで消費し友人とおしゃべりして時間を潰し今から行くホーチミンに思いを馳せた。
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ベトナム語のスペリングが鬼

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毎日少しずつ勉強して2週間くらいたつがベトナムアルファベットに苦しめられている。なんなんあれ。ベトナム語表記に向いてないやろ。

ついつい愚痴が出てしまったが、母音字の上や下に帽子がついたり点がついたりする。ベトナム語の比較的多い母音と、声調をラテンアルファベットに転写するときに文字がどうしても足りなくなるからであろう。

ベトナム語はもともとチュノムという漢字をまねた独自の文字で表記されていた。が、漢字を知らないと文字の習得が難しく一般民衆には広がらなかったという歴史がある。ベトナム語のラテンアルファベット表記化によって識字率が大きく向上した(らしい)。

しかしラテンアルファベットを知っているからと言ってもつづるのが簡単なわけでは決してない。例えば、次の文を見てみよう。

tôi học tiếng Việt.
私はベトナム語を勉強する。

1人称の tôi を脳内でトイと覚えているため、書くとあれ? tớiだっけ?いやtoiか....あ、 tôi だったか....と調べないと自信が持てない。ベトナム帽子のような記号がついていることまで覚えないと正しい表記にならない。こんな風に脳内で言語化できない記号を覚えるのは初学者には割と難関ではないか。ラテンアルファベットを使うからとっつきやすいと思いきや付属する記号まで覚えないといけないためスペルが案外難しい。
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発音するときに声調に気をつけないといけないだけでなく、書くときにもアルファベットだけ覚えるわけにはいかないというややこしい言語だ。今日もこつこつスペルと声調を練習していこうと思う。

ベトナム語始めてみた

f:id:kasatsukuri:20180712184712j:plain ベトナム語を最近勉強し始めた。ファーストインプレッションは中国語のピンインがそのままの形で表記されたようなアルファベットで書かれる東南アジアの言語という所感だった。地理的に接してるからというのも大きな理由だと思うが中国語にかなり音韻的に似ており、漢語も日本語と同じように多く入っている(らしい)。

筆者が生のベトナム語に触れたのは2016年夏にベトナムに旅行したときである。そのときは北のハノイから南のホーチミンまで長距離バスで縦断した。ベトナムバックパッカーがよくやるテンプレ行程である。そのときはベトナムだけでなくタイラオスも回ったので、タイ語ラオス語の習得に時間を奪われベトナム語をほとんど覚えずに現地に行ってしまった。やってしまった。英語でやり過ごしてしまったが、やはり観光関係の仕事をしている人かホテルのフロント以外の現地の人とコミュニケーションはあまり取れなかった。

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意外なようだがベトナムも日本と同じくらい英語の通用度は高くない。国際化だということで日本では(日本だけじゃないかもしれないが)アホみたいに英語英語と叫ばれているが、世界的にはあそこまでごり押しされるほど英語はどこででも通じる訳ではないということを海外旅のたびに痛感する。それと、やはりその土地の文化を知るためには現地の言語を学び現地人とコミュニケーションを取るのが最適解だし、土地の言語と文化を尊重することにつながると思う。

話は多少それたが、海外旅行が初めての友人と9月にベトナムホーチミンを旅行する予定である。なんとか1ヶ月半でベトナム語を形にして現地の人とコミュニケーションを取りディープな体験をしたいと思う。

ニューエクスプレスベトナムを使って無理なくできるように1日2課ずつ進めている。ベトナム語は中国語と同じように声調と呼ばれる音の上げ下げが意味の判別に重要で、4声調の中国語に対してベトナムでは6声調もある。筆者は中国語も勉強中であるが、やはり日本人にはきつい。教材付属のCDの音を耳に残してコピっていくことで活路を見いだそうとしている。

漢語の影響を受けており元々漢字文化圏の言語なので、語彙に関しては漢字を思い浮かべれば多少覚えやすい。
注意 chứ ý チュー イー
生員(学生) sinh viên スィン ブィエン

てな感じである。

文法に関しては、語順はSVOであり、時制によって動詞が変化するということもない。義務教育で英語を勉強している僕らとしては英語のややこしいところを抜いた文法なので特に習得が難しいということはない(と信じたい)。

語学に関しては移り気な筆者なのでいつまでベトナム語学習のモチベーションが続くかはわからない。とりあえず名詞文、動詞文の単文を使いこなせるまでは続けたいと思う。